Concept

立ちあらわれても、消えていくもの。
決して、それを固定化させたり、物質化させたり、いわんや永遠などという観念には無縁で、たった一瞬でもいい、まぶたに焼き付いた光景があったり、そのときに身体を走り抜けた感動とか、
はっともらしてしまった吐息、といった、つかみどころのない、エフェメラそのものを現前させること。
日本の美術はこの一つの主題だけを追いかけているのではないか。

エフェメラは、実は日本語の「かげろひ」の訳として充当したもので、
事前の活動源である「ひ」が成生消滅していくという意味がある。

それが、日本人の美意識の一部を、同時に現在の都市や建築の状況を、
かなり的確にいい当ててもいる、と思われる。

〜磯崎新『見立ての手法日本的空間の読解「エフェメラの美」』より〜

世界的建築家であり、知と美の巨星・磯崎新も考察した日本文化に深く根差した「かげろひ」の「美意識」。
私たちは、日本各地と風土、そこで人々が積み重ねてきた「文化」そのものを深く採取して、
現代の日本において、文化の担い手たちと共に新たな「かげろひ」を現実世界に現出させます。

「人生の旅路で、生来人間は『文化教養への希求』を最後まで追い続ける」
そんな方々に、所有も運用もできない、消えゆく定めの酔狂な「かげろひ」を全身で享受していただけましたら幸いでございます。

地球を舞台に、感動と交流の意義を届け続けてきたJTBグループが
新たな価値を創り出す、一期一会の蜃気楼のような——【かげろひ】

ひととき花ひらき、やがて消えゆく【かげろひ】
生涯消えない一日を。

About
『かげろひ』
2025 / 7 / 15
17:00  〜 22:00 (予定)

テーマ:【乞雨 kouu】

@京都・両足院 篇
https://ryosokuin.com

120万円(税別)/ 1名
実施人数 8名
Story
時は2025年7月15日。
祇園祭の宵々山当日、洛中が祇園囃子に包まれる中、
東山裾の禅寺両足院では静謐な空間の中で、
「雨/乞雨」をテーマに「文化の雨」を降らせます。


時は遡ること1185年。
文治元年、京の都が干ばつにみまわれた際、
臨済宗の開祖・栄西禅師が後鳥羽天皇に召喚され都で
「雨乞」をして見事雨を降らせたという故事がある。

そして今、840年の時を超えて。
空間(建築)、禅(様式/術)、音(謡と曲)、
食(じき/料理)、花(供花)、の文化の粋を集め、
当時あの世とこの世の境でもあった
「鳥辺野」にも近い両足院の地で、
天地に捧げて「雨を乞う、新:【乞雨】」を催す。

文化を担う雲々が集い、
やがて鮮烈な「雨」を降らせる。
その雨は「文化雨」となり、
その場を体感した人々の心の土に永久的に沁み入り、
やがて未来で、文化の生命を繋ぐ。
Program
8人のゲストの為の
5時間で消えゆく至極のプログラム。
京都・両足院にて
夏雨の美を呼び起こす「乞雨」をテーマに、
表現者たち渾身の『かげろひ』が現出し、
一夜の酔狂な世界が浮かび上がる。 

「雨/乞雨」をテーマに
世界的建築家・石上純也が新空間を創出。
その空間に花司・田中孝幸は花をいけ、
気鋭の料理人・泉貴友は感性とストーリーが宿った
特別なディナーをゲストに供する。
 
「雨/乞雨」をテーマに
作曲家・桑原ゆうが今宵の為だけの曲を作曲。
その音楽は世界初演として、世界で活躍する
能声楽家の青木涼子がその歌声を天地に響かせ、
ヴァイオリニストの成田達輝が奏で、
打楽器奏者の畑中明香は轟かせ、
至極の『かげろひ』音世界を生み出し、
ゲストを包み込む。 

やがてゲストたちは、
禅僧・伊藤東凌の導きによる特別な
メディテーションの世界に没入し、

それは両足院茶頭・中山福太郎による
歴史的茶室での渾身の茶事へと続いてゆく。 

両足院境内の全てを使い、
様々な仕掛けと演出と共に
それぞれの表現者たちの『かげろひ』が
一体となった時空を旅するような。
8人のゲストだけに向けた、
鮮烈な幻想的物語体験であり、
文化体験であり、神秘体験となる。 

夏の京、祇園祭の喧騒から断絶した
静謐な闇夜の両足院。
陽が入って風物すべてが青味を帯びて見られる頃、
この『かげろひ』の宴は幕をあける。

Artists

生涯消えない一日を、ゲストとともに。

石上 純也

1974年神奈川県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修士課程修了。妹島和世建築設計事務所を経て、2004年に石上純也建築設計事務所設立。主な作品に、神奈川工科大学KAIT工房・KAIT工場、Park Groot Vijversburgビジターセンター、水庭、2019年サーペンタイン・パヴィリオン、House&Restaurant、水の美術館など。2009年日本建築学会賞(作品)、2010年第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞、毎日デザイン賞、2019年芸術選奨文部科学大臣新人賞(美術部門)、OBEL AWARD、2024年フレデリック・キースラー建築芸術賞、2024年日本建築学会賞(作品)など受賞多数。

建築
石上純也建築設計事務所主宰
伊藤 東凌

京都・祇園にある両足院に生まれ育ち、祖父である22世のもと得度。建仁寺派専門道場にて修行後、2007年に23世である父の補佐として副住職となる。これまで国内外で延べ20万人以上に坐禅指導を行い、両足院拝観の新しい形態として現代美術を中心とした展覧会を行うなど、600年以上にわたる歴史と伝統を現代に繋ぐ試みを続けている。海外での活動も多く、米国Meta(旧Facebook)本社ほか、欧米やアジア各地において禅指導を行ってきた。スマートフォンを使って瞑想や禅の思想に触れることができるアプリ「InTrip」の開発や現代的な茶席の提案などを行うプラットフォーム「是是」、デザインホテルやファッション、ライフスタイルブランドとのコラボレーションなど活動は多岐にわたる。2023年には『Forbes JAPAN』による「Next100」、『Newsweek』にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。雑誌やウェブ媒体における連載など執筆活動も多く、『忘我思考 一生ものの問う技術』(日経BP社)も出版した。

京都「両足院」副住職
中山 福太朗

両足院(京都))茶頭。
大学時代より裏千家茶道を学ぶ。
茶の湯の伝統を伝えること、その知恵と技術を現代に接続し自身の表現として様々な形で具体化すること、これらを両輪に茶の湯の活動を行う。

茶道
京都「両足院」茶頭
泉 貴友

滋賀県長浜市出身調理師学校を卒業後、5年間京都の料亭で修行。2010年から「じき宮ざわ」の門を叩き2014年から10年間料理長を務める。2025年8月に京都玄琢の地にて日本料理「MUBE」開業予定。

料理人
京都玄琢 日本料理「MUBE」
青木 涼子

能の「謡」を現代音楽に融合させた「能声楽」を生み出し、現代の作曲家を惹きつける「21世紀のミューズ」。2013年テアトロ・レアル王立劇場でのデビューを皮切りに、ヨーロッパを中心に活動。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団をはじめ数々の名門オーケストラとの共演やベルリン・フィルハーモニー、サントリーホールなどで演奏を行う。これまで世界20ヵ国55人を超える作曲家たちと新しい楽曲を発表。世界からのオファーが絶えない、現代音楽で最も活躍する国際的アーティストのひとり。東京藝術大学音楽研究科修士課程修了(能楽観世流シテ方専攻)。ロンドン大学博士課程修了。2015年度文化庁文化交流使。2019年度第11回「創造する伝統賞」受賞。https://ryokoaoki.net/

能声楽家
成田 達輝

1992年生まれ。札幌で3歳よりヴァイオリンを始める。ロン=ティボー国際コンクール(2010)エリザベート王妃国際音楽コンクール(2012)、仙台国際音楽コンクール(2013)でそれぞれ第2位受賞。これまでに、ペトル・アルトリヒテル、オーギュスタン・デュメイ、ピエタリ・インキネンなど著名指揮者や国内外オーケストラと多数共演している。2018年8月と翌2月に韓国で行われた平昌音楽祭に参加し、ソン・ヨルム、スヴェトリン・ルセヴらと共演。2018年にはミンスクで行われたユーリ・バシュメット音楽祭にも参加している。使用楽器は、アントニオ・ストラディヴァリ黄金期の”Tartini”1711年製。(宗次コレクションより貸与)。https://tatsukinarita.com/

ヴァイオリン
畑中 明香

同志社女子大学音楽学科及び専修課程修了。在学中に日本打楽器協会新人演奏会にて最優秀賞及び朝日現代音楽コンクール<競楽Ⅳ>第2位入賞。ドイツ国立カールスルーエ音楽大学を最優秀にて卒業。その後、アンサンブル・モデルンアカデミー(Ensemble Modern Akademie)にて研鑽を積む。2006年ダルムシュタット国際現代音楽際にてクラーニヒシュタイナー音楽賞(Kranichsteiner Musikpreis)受賞。フェスティバル・ムジカ、ハダースフィールド国際現代音楽祭、アルシペル音楽祭、ドナウエッシンゲン現代音楽祭などに出演。相愛大学・大学院非常勤講師。

打楽器・マリンバ
桑原 ゆう

日本の音と言葉を源流から探り、文化の古今と東西をつなぐことを軸に創作を展開する作曲家。第31回芥川也寸志サントリー作曲賞(旧名:芥川作曲賞)受賞。英国音楽レビューサイトBachtrackにて「2023年注目の女性作曲家8人」に選出。2024年ウィーンの名門現代曲レーベルKAIROSより初の作品集アルバムをリリース。2026年第6回高松国際ピアノコンクール委嘱曲作曲家。これまでに国立劇場、静岡音楽館AOI、神奈川県立音楽堂、横浜みなとみらいホール、箕面市立メイプルホール、サントリー芸術財団、ルツェルン音楽祭、ワルシャワの秋、アハト・ブリュッケン(ケルン)、ZeitRäume(バーゼル)、Transit20·21(ルーヴェン)、I&I Foundation(チューリヒ)等、国内外で多くの委嘱を受け、世界各地の音楽祭や企画で作品が取り上げられている。楽譜はEditionGravis、Edition Wunn(共にドイツ)より出版。「淡座」メンバー。東京藝術大学および同大学大学院修了。2025年1月現在、国立音楽大学、洗足学園音楽大学及び大学院非常勤講師。2025年4月より国立音楽大学専任、東京藝術大学でも非常勤講師を務める。https://3shimai.com/yu/

作曲家
田中 孝幸

大学卒業後、出版社勤務を経て独学で花の世界へ。花卸市場勤務時にベルギーのアーティスト:ダニエル・オストと出会い、世界遺産などの展示で協働後、独立。花・植物などの自然要素を表現ツールの中心に据え、地脈と文脈を重視したコンセプチャルな作品は多方面で好評を得る。作品制作、空間デザイン、プランニング&クリエイティブディレクションなどを中心に、国内外企業とのコラボレーション、地方自治体プロジェクト、雑誌連載、対談など多岐に活躍。「いわゆる花」の概念を独自にアップデートし続けている。
代表作には、東京の様々な街を舞台に花を生け、山田詠美や川上弘美など12人の女性作家からの寄稿文と共に、独自の花世界を紡ぎ出した雑誌「婦人画報」での巻頭連載『東京百花』。人類学者で京都大学前総長の山極壽一、劇作家の平田オリザ、映画監督・大森立嗣などとの対談イベント「work magic NARA」などがある。
近年では、BMWとのコミッションワークで東京表参道交差点に「葛飾北斎」をオマージュした2ヶ月間のインスタレーション「Homage to HOKUSAI」を創出。Googleとのコミッションワークとして「新月」をコンセプトにしたインスタレーション「NEW MOON」などがある。

花司
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Cast

JUNYA ISHIGAMI
RYOKO AOKI
TAKATOMO IZUMI
TORYO ITO
FUKUTARO NAKAYAMA
Tatsuki Narita
Asuka Hatanaka
Yu Kuwabara
TAKAYUKI TANAKA
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Creative & Contents Director
TAKAYUKI TANAKA

Producer
AKITO HIDAKA